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SMAFで作る着信音−デイブ・ブリストウ
Dave's Ringtones for SMAF Vol.6
はじめに
今回で、この連載も最終回を迎えます。そこで今回は、コンテンツ制作者がこなさなければならない典型的な作業であるSMF(.mid)のSMAFファイル(.mmf)への変換について解説します。ここに、まずSMF(.mid)があると仮定しましょう。ほぼ間違いなく、PC向けGMサウンドセットか、またはGM対応シンセサイザー用に開発されたものでしょう。これを"優れた"SMAFファイル(.mmf)へと変換するには、どのようにすればよいのでしょうか。

この問いにきちんと答えるためには、優れたSMAFとは厳密にはどんなものかを定義することから、まず始めなければなりません。そのために、SMAF/MAシステムのメリットを最後にもう一度おさらいしましょう。

特性:
  • FM音源のサウンドは、48kHzで再生されます。つまりFM音色を使えば、ヌケのよいクリアなサウンドを、携帯電話端末で常に実現できるのです。
  • PCMも、音色として利用するとき、高いサンプリング・レートを採用することができます。ストリングスやコーラスのようなFM音色にはあまり適していないサウンドの代わりとして、非常に役立ちます。
  • MA音源LSIはまさにシンセサイザーなので、携帯電話端末で聴いたとき最高のサウンドとなるように、シンプルなGM音色をはじめとするあらゆる音色を微調整することができます。
  • FM、PCM双方のサウンドを高度に重ね合わせることによって、豊かなオーケストレーションが実現できます。
ファイルサイズ(…音楽性・創造性を小さなサイズで実現する!):
  • MIDI、サウンド合成、StreamPCMを最適にミックスすることによって、SMAFファイル(.mmf)のサイズは、非常に小さくなります。
音楽性・創造性を小さなサイズで実現する!:
  • StreamPCMという、より大きなサウンドの付加機能によって、SMAFにリアル感を簡単に出すことができます。
  • MIDI、FM/PCMサウンド合成、StreamPCMをミックスして使用できるので、SMAF/MAオーディオエンジンで着信メロディを制作すると、高いレベルの柔軟性と独自性を実現できます。
もちろんSMF(.mid)をSMAFファイル(.mmf)に単純に変換するだけなら、技術的には自動的に行えます。また標準的なSMF(.mid)であればどんなものでもオーサリングツールで読み込んで、SMAFファイル(.mmf)として保存できます。それだけでも十分といえば十分ですが、いくつかの処理を行って、ファイルがMA音源LSIの能力を最大限引き出すように工夫すれば、さらに良い仕上がりが期待できるのです。 それでは、そもそもの疑問に戻りましょう。既存のSMF(.mid)を"優れた"SMAFファイル(.mmf)へと変換するには、どのようにすればよいのでしょうか。

次の図は処理の概略を示しています。詳しい手順は、図の後で説明しています。

データを整理し、ファイルを準備する:
以下に示すいくつかのことをしておくと、SMF(.mid)がSMAFファイル(.mmf)として上手く機能するようになります:
  1. 不要データの削除:アフタータッチ、FX(効果音)コントロールデータ、SysEx(システム・エクスクルーシブ)データは、全て削除します。ファイルのサイズを小さくし効率を上げます。ノートデータ、プログラム・チェンジ、ピッチベンド、パン(10)、音量(7)、エクスプレッション(11)、モジュレーション(1)は残します。それに加えて...
  2. スムーズなループ再生ポイントの設定:何の指定も行わなければ、SMAFファイル(.mmf)では、最初と最後のMIDIイベントの間で繰り返されます。そのためこれらのイベントは、必ず、繰り返しのポイントを示す的確な小節/拍/ティック上になければなりません。最初のイベントは第1トラックのプログラム・チェンジとなるのが普通で、最後のイベントは最も長いトラックの最終のノート・オフでしょう。この最後のイベントは、最終小節の最後のティック上、もしくは、そのごく近辺でなければならないのです。
XGWorksを使用しているのであれば、繰り返し位置は、キュー・イベントの"スタート"と"ストップ"を挿入することで設定できます。この場合、プログラムの初期読み込みや音量などトラックに関する初期値を設定するための短いセットアップ小節を用いて、ノート・イベントの間だけで繰り返すこともできるのが利点です。そうすれば、曲がトラックの先頭に戻るたびに音色データを読み込まなくてよいので、よりスムーズな再生が実現できます。その様子を示したのが、次の図です。



ファイル内データの整理を十分に行った後、オーサリングツールで読み込みます。
音色の調整、置換を行う:
オーサリングツールで提供されているデフォルトGM音色セットは、いくつかのドラム・サウンドを除き、FM音色で作られています。音色には、まさに期待通りのものもあれば、微調整したり、置き換えたりしたほうがよいと思うものもあるでしょう。MA音源は、GMファイルを扱うときに、デフォルトバンクに対するプログラムの選択を自動的に"指定"します(MA-3のNormal音色の場合、MSB=124、LSB=0)。ところが、このバンクの音色は、編集することができません。そのため音色を編集したい場合は、2段階の処理を行わなければなりません。つまりデフォルトバンクを(編集可能な)ユーザーバンクにコピーし、その後、シーケンサーで新たなバンクセレクト(ユーザーバンク)を指定するように変更しなければならないのです。

注:オーサリングツールの最新版をご利用の場合は、デフォルトバンクを"編集可能な"バンク位置にコピーする必要はありません。この処理は自動的に行なわれます。旧バージョンでは、何も入っていない"Melody"音色がユーザーバンクのデフォルト値として設定されていましたが、最新版では、ツール起動時に各ユーザーバンクにデフォルト音色バンクの編集可能なコピーが含まれているのです。さらにオーサリングツールの最新版は、GMファイルを扱うときに、ユーザーバンク(MA-3のNormal音色の場合、MSB=124、LSB=1)を指定するように、SMFのBank Selectを自動的に変更します。つまり、編集可能な音色をMIDIファイルが利用できるようにするために、何もする必要がないのです。最新版にバージョンアップしておくだけの見返りは、十分にあるでしょう! とはいえ、オーサリングツールの最新版をまだインストールしていない場合は、次の手順で作業をおこなってください。
  1. デフォルトバンクのユーザーバンクへのコピー:この処理は、バンクの上を右クリックし、ポップアップウィンドウから"Export Bank..."を選択すれば、簡単にできます。例えば"MyGMBank"とでも名前を付けて、保存します。続いて次の未使用のユーザーバンクの上を右クリックし、ポップアップウィンドウから今度は"Import Bank…"を選択します。先程保存した"MyGMBank"を選択し、クリックして開きます。バンクにデフォルト音色が読み込まれます。
  2. シーケンサーで新たなバンクを指定する:デフォルト音色を読み込んだユーザーバンクを指定するために、それぞれのトラックのBank Selectを合わせます。このやり方は、シーケンサーによって異なります。例えばXGWorksでは、Bank Selectとして、正しいMSBおよびLSB(Drum Bankの場合はProgram Change)を設定するだけです。また SONARでは、バンク15872はデフォルト Normal Bankとなり、15873以降がユーザーバンクとなります。(16000パッチ0は、デフォルトDrum Bank) 。
オーサリングツールで再度読み込みます。最初に再生したときと全く同じに聞こえるはずですが、音色を微調整したり置き換えたりできるようになっているところが、大きな違いです。ちょっとした変更で効果を上げるのは全く簡単で、私が好んで行う置換方法を、次にいくつか紹介します。
  • ストリングスのパッド系サウンドをPCMストリングスに置き換えます(連載第5回で紹介した例が、様々な場合に応用できます)。
  • 可能であれば、アコースティック・ピアノよりもエレクトリック・ピアノを使います。
  • 対象とする携帯電話端末に合わせてベースを微調整します。
MIDI効果を付加し、データをより良いものとする:
MIDIデータそのものを上手く活用できるかどうかは、あなたのMIDIミュージシャンとしての腕前にかかっていますが、実力を磨いておけば、その見返りは十分にあります。音色を置換するだけでなく、実際のMIDIデータに多少手を加えるだけで、かなり大きな効果を出すことができます。
  • メロディ・ラインにエコーをかけるためにMIDI効果を使います(連載第4回)
  • パッドのかわりにMIDIコーラスを使います(連載第4回)
  • ドラム・トラックには、絶対にデータを詰め込みすぎないようにします。詰め込みすぎているようなら、リズムに影響を与えずにどの楽器を外すことができるかを確認します。
  • ベロシティを効果的に用いているか? .midファイルにステップタイム・データが入力されている場合、ベロシティの値が全て同じとなっていることがよくあります。一部のトラックの音符のベロシティ値を、ランダムにまたはビートに合わせて変更すると、サウンド全体がさらに活き活きとします。
VS、LEDトラックを選ぶ:
できることなら、音楽データのトラックをVS (バイブレーション(振動)モータ・スイッチ)やLED(発光ダイオード)に使うとよいでしょう。VSトラックには、音符数が多すぎさえしなければ、ベース・トラックを選ぶのが一般的です。LEDトラックには、作品全体を通して使われる別のトラックをどれかひとつ使います。既存の音楽データのトラックが使用できない場合は、新たなトラックを追加します。そのトラックには、効果を断続させるために、ベロシティを低く設定した音符を用います。さてここで、作成するMIDIファイルに相応しいVS、LEDトラックが付加されているか確認しておきましょう。
StreamPCMを付加する:
StreamPCMは、SMAFをさらに充実させる上で、非常に効果的な方法のひとつです。もととなる素材からボーカルの小さな断片を切り出したり、何らかのサウンドFXを付加したりすれば、標準的なMIDIファイルだけでは実現できない個性とリアル感をSMAFに与えることができます。連載第5回で、StreamPCMを付加する際の手順やオーサリングツール最新版の使い方について説明しましたが、さらにいくつかのヒントを紹介しましょう。
  • 波形編集ツールを持っているなら、StreamPCMをSMAFファイルに読み込む前に、EQ(イコライザー)を使用して編集して、500Hz以下の周波数を取り除いて、再度ノーマライズします。(携帯電話端末のスピーカーは小さすぎて、これらの周波数を再生することができません).
  • 波形を約-6dBにまでノーマライズすれば十分だと思います。StreamPCMの再生音量を小さくすることは、いつでもできます。
  • 利用する波形データの冒頭の音のない部分を削除します。そうすれば位置合せが簡単になります。
  • ステレオ・トラックからボーカルを録音した場合は、モノラルに変換することで、ボーカルを伴奏トラックからわずかながらクリアに浮き上がらせることができます。
  • StreamPCMのタイミングがとても重要な場合は、オーサリングツール内でStreamPCMを直接配置できる最新版の機能を利用するのではなく、ドラムチャンネルにトリガー用の音符を入力し、シーケンサーで位置合せを行っても構いません。シーケンサーで作業をする方が、小節および拍の位置を正確に把握しやすいのです。 (単にStreamPCM の位置をトラックの先頭に合せるか、耳で聞いて位置合せを行うかということだけが問題なら、オーサリングツールの最新版の機能を用いれば、StreamPCMをとても簡単に素早く付加することができます。)
バランスを再調整し、保存する:
音色を変更し、StreamPCMを付加した後、通常は、トラックのリミックスが必要となります。私は、MIDIファイル内でこの作業を行うのが好みです。というのは、後になってSMAFファイル(.mmf)を大幅に変更する必要が出てきたときに(単にレベルだけでなく、音符やイベントの変更が必要になったとき)、元となるMIDIファイルを用いるほうがより間違いがないからです。全ての変更、追加についてリミックスが終了したら、オーサリングツールに再度読み込み、SMAFファイル(.mmf)として保存します。

ここでは、インターネットからダウンロードしたフリーのMIDIファイルを使ったサンプルを紹介します。3つのmp3ファイル(.mp3)と1つのSMAFファイル(.mmf)です。

1.
GMシンセサイザーで作成されたオリジナルのmp3ファイル(.mp3)
JLWFT-GMMIDI.mp3
Download
2.
MA-3で直接作成されたオリジナルのmp3ファイル(.mp3)
JLWFT-ATSMIDI.mp3
Download
3.
今回紹介した手法を用いて"加工した"SMAFのmp3ファイル(.mp3)
JLWFT-improvedSMAF.mp3
Download
4.
完成したSMAFファイル(.mmf)
JLWFT-improvedSMAF.mmf
Download

実際のところ、加工処理全体でもほとんど時間はかかりませんが、そのちょっとした努力をしてみるだけの価値が十分にあります。
そして最後に、おつきあいくださった皆さん、どうもありがとう!
このホームページで6回にわたりSMAFのコンテンツ制作に関して連載してきましたが、お楽しみいただけましたでしょうか。私は、自分のやり方や考え方を皆さんと分かち合うことができて、大変嬉しく思っています。

着信メロディは、新しい芸術として認知されつつあります。そしてMAオーディオソリューションとSMAFは、この新しい芸術を模索し創造していく上で、素晴らしいツールなのです。

SMAFを使って、皆さんが素晴らしい作品を生み出されることを祈っています。

デイブ
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Copyright(c) 2008 Yamaha Corporation. All rights reserved.
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